イタリアの家庭料理、鶏肉のカチャトーラ(ポッロ・アッラ・カチャトーラ)。骨付き鶏もも肉を皮目からこんがり焼き、玉ねぎ、パプリカ、きのこ、白ワイン、トマト缶、ローズマリー、黒オリーブとケッパーで35〜40分煮込みます。フライパンひとつ、約75分で完成。ポレンタやパスタと一緒に。
鶏肉のカチャトーラ(pollo alla cacciatora、「猟師風の鶏肉」の意味)は、イタリアの家庭で作られてきた煮込み料理の代表格です。骨付きの鶏もも肉を皮目がきつね色になるまでこんがり焼き、玉ねぎ、にんにく、パプリカ、きのこと一緒にワインとトマト、ローズマリー、ローリエで煮込み、仕上げに塩気のきいた黒オリーブとケッパーを合わせます。素朴で、うまみが深く、失敗しにくい料理。煮込んでいる間に台所いっぱいに広がる香りは、10月の夜のごほうびそのものです。イタリアでは地方ごとに作り方が違いますが、今回はトマトをしっかり使う中部イタリア風に、パプリカときのこを加えて、これ一皿で献立が完成する形にしました。
コクのあるカチャトーラと、水っぽい鶏のトマト煮の違いは、いくつかの選択にあります。まず、骨付き・皮付きの鶏もも肉を使うこと。骨からうまみとコクがソースに出て、40分煮込んでも身はしっとりしたまま。むね肉ではこうなりません。次に、鶏肉は2回に分けてしっかり焼き色をつけること。香ばしい皮と、野菜を炒めるためのおいしい鶏の脂が得られます。きのこは玉ねぎより先に炒めて、蒸れずに焼き色をつけます。そして、ふたを少しずらして弱火でコトコト煮ること。鶏に火が通る間にソースが煮詰まり、味が凝縮します。オリーブとケッパーはトマトと一緒に入れて、その塩気を料理全体にゆきわたらせます。
日本で作る場合、材料はどれもスーパーでそろいます。ホールトマト缶がなければカットトマト缶でかまいませんし、黒オリーブは瓶詰めの種抜きで十分です。ケッパーは輸入食材コーナーにありますが、なければ省いて、オリーブを少し増やして塩気を補ってください。
材料
- 骨付き鶏もも肉(皮付き) 8本、約1.2kg
- 塩 小さじ1(仕上げに味をみて追加)、黒こしょう 小さじ1/2
- エクストラバージンオリーブオイル 大さじ2
- マッシュルーム(ブラウンまたはホワイト) 250g、4つ割り
- 玉ねぎ(大) 1個、縦半分に切って薄切り
- 赤パプリカ 1個、幅1cmの細切り
- にんにく 3片、薄切り
- 辛口白ワイン 150ml(軽めの赤ワインでも可)
- ホールトマト缶 1缶(400g)、汁ごと手でつぶす
- 鶏がらスープ 150ml
- ローズマリー(生) 2枝
- ローリエ 1枚
- 種抜き黒オリーブ 80g(ガエタ、タッジャスカ、カラマタなど)
- ケッパー 大さじ1と1/2、さっと洗う
- イタリアンパセリ(みじん切り) 大さじ2、仕上げ用
- ポレンタ、バゲットなどのパン、またはゆでたパスタ 適量
作り方
- 鶏もも肉はキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取り、全体に塩とこしょうをすり込みます。野菜の準備をする間、室温に置いておきます。皮が乾いていて冷たすぎない方が、きれいな焼き色がつきます。
- 直径30cm以上の厚手の深めのフライパンか鋳物鍋にオリーブオイルを入れ、中強火で熱します。鶏もも肉4本を皮目を下にして並べ、動かさずに6〜7分焼きます。皮が濃いきつね色になり、鍋底からすっとはがれるようになったら裏返し、さらに3分焼いて皿に取り出します。残りの4本も同様に焼きます。
- 鍋に残った脂は大さじ2ほどを残して捨てます。マッシュルームを重ならないように入れ、中強火で4〜5分、1〜2回だけ混ぜながら、縁に焼き色がつくまで炒めます。
- 玉ねぎとパプリカ、塩ひとつまみを加え、よく混ぜながら5分炒めて、玉ねぎが透き通ってやわらかくなったらにんにくを加え、焦がさないように香りが立つまで1分炒めます。
- 白ワインを注ぎ、木べらで鍋底のこげをこそげ落とします。2〜3分沸かして、量が半分ほどになり、アルコールのとがった匂いが飛ぶまで煮ます。
- つぶしたトマトを汁ごと、鶏がらスープ、ローズマリー、ローリエ、オリーブ、ケッパーを加えて混ぜます。オリーブとケッパーに塩気があるので、塩は控えめにふり、煮立たせます。
- 鶏もも肉を皮目を上にして、皮が汁から出るようにソースに沈め、皿に出た肉汁も加えます。弱火にし、ふたを少しずらしてのせ、35〜40分静かに煮込みます。肉がとてもやわらかくなり、骨のそばに刺した竹串から透明な汁が出れば火が通っています(中心温度75℃)。ソースはスプーンにまとわりつく程度のとろみが目安。まだ薄ければ鶏肉を取り出し、ソースだけ強火で3〜5分煮詰めます。
- ローズマリーの枝とローリエを取り除き、味をみて塩・こしょうで調えます。イタリアンパセリを散らし、鍋のまま食卓へ。やわらかいポレンタ、厚切りのパン、あるいはパスタにソースをからめていただきます。
コツ・ポイント
- 代用品:手羽元や、丸鶏を8つに切ったものでも同じように作れます。もも肉と手羽元を合わせるのがいちばん伝統的です。骨なしの鶏もも肉しかない場合は、煮込み時間を25分に短縮してください。赤ワインを使うと色が濃く、より力強い味になり、トスカーナの家庭ではよくこの作り方です。開いているボトルがあればそれを使ってかまいません。生のローズマリーがなければ、乾燥ローズマリー小さじ1か、タイム2枝で代用できます。
- 鶏肉を焼くときは鍋に詰め込まないこと。ぎゅうぎゅうに並べると蒸し焼きになって皮がパリッとせず、ソースの土台になる香ばしいこげも鍋底に残りません。2回に分けると10分余計にかかりますが、その価値は十分あります。
- ソースをよりなめらかにするには、にんにくと一緒にトマトペースト大さじ1を加えて1分炒めてからワインを注ぎます。少し辛みをつけたいときは同じタイミングで赤唐辛子のフレークをひとつまみ。南イタリアの作り方ではよく入れます。
- 作り置きと日持ち:煮込み料理らしく、カチャトーラは翌日の方がさらにおいしくなります。完全に冷ましてから密閉容器に入れ、冷蔵で3日、冷凍で3か月保存できます。温め直すときは水かスープを少し足し、ふたをして弱火でゆっくり、鶏肉の中心まで熱くなるまで温めます。冷凍したものは前日に冷蔵庫で解凍してください。
- 献立の組み合わせ:北イタリアではクリーミーなポレンタが定番の付け合わせで、ソースをよく吸ってくれます。南に行くとバゲットのようなパンや、リガトーニなどのショートパスタが多くなります。酸味のきいたドレッシングのグリーンサラダか、青菜のソテーを添え、料理に使ったのと同じワインを開ければ、立派なイタリアンの夕食です。
- 残ったソースにほぐした鶏肉を少し混ぜれば、翌日のパスタソースやブルスケッタのトッピングとして絶品です。2人分でもレシピ通りの量で作っておく価値があります。
栄養情報
栄養情報はあくまで目安です:1人分(鶏もも肉2本とソース)あたり約560kcal、たんぱく質42g、脂質34g、炭水化物14g(ポレンタ、パン、パスタは含みません)。
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